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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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04/01/20:09  2

早速、時間を止めてみようと、指輪に息を吹きかけた。
指輪が赤く光る。彼女は階段を降りて、1階へと行った。
そこには立ち上がろうと中途半端な格好でいる兄、キッチンでは洗い物をしている最中の母、そして画面が動いていないテレビがあった。
 彼女は驚いて目を丸くした。
「本当に……止まってる」
 彼女は再び指輪に息を吹きかけた。すると、その瞬間、兄と母が同時に動き出した。テレビの画面も動いている。
 彼女はしばらくの間、その場で呆然としていた。
「何やってんの?」
 兄に話しかけられ、はっとした彼女は「なんでもない」と階段を駆け上がり、自分の部屋へと駆けこんだ。彼女の心臓はバクバクしている。

(本当に……本当に時間が止められるんだ)

 彼女は机と向かい、指輪に息を吹きかけた。そして、指輪の色が変わったのを確認して、課題を進める。時々、携帯ゲームや音楽を聴いて休憩した。
そして、お腹がすいたので1階へと降りて行き、「お母さん、ご飯まだ?」と尋ねて気付く。

(そうだ、時間、ずっと止めっぱなしだったんだ)

 彼女は時計を見たが、時間は何も動いていなった。
彼女はてきとうにお菓子をつまむと、自室へと戻り、課題を進める。
しかし、彼女は気付いてしまった。このまま、時間を止め続ければ、課題なんてやらなくてもいいし、学校にだって行かなくていい。
 彼女はニヤッと笑うと、やっていた数学のワークを閉じ、ベッドに横になり、そのまま寝た。
そして、目が覚めて1階へ行くと、彼女は驚愕した。
何もかもが昨日のあの時間のままなのだ。

(そうだ……昨日、時間を止めたまま寝ちゃったんだ)

―グゥ~……―

 彼女のお腹がなった。そして、彼女は自分のお腹を見つめ、少し困った顔をした。
「そうだ!」
 彼女は何かひらめいたようで、外に出て自転車に乗り、近くのコンビニに向かった。
向かっている最中、車はすべて止まっていて、動いているのは自分だけで、なんだか不思議な感覚がした。
 そして、コンビニに着くと、彼女はお気に入りのパンとお茶を手にとって、レジへと並ぶ。
しかし、当たり前だが店員は動かない。
 彼女はそのことに気付くと、ニヤッと笑い、カップラーメンや飲み物、お菓子やパン、弁当、雑誌や小説などの本をカゴへと入れていった。そして、そのカゴを持ち、店を出る。
 彼女はすごく罪悪感を抱いていたが、誰も彼女を怒る人はいない。
いや、怒りたくても怒れないのだ。彼女はそのまま家に行き、自室へと入った。
 そして、パンを片手に、携帯ゲームを始める。携帯の中の時間も止まっているので、ゲームに必要なHPも携帯の充電も必要ない。
 それをいい事に、彼女はしばらくの間ゲームをやり、飽きたら本を読み、お腹がすいたらコンビニから持ってきたものを食べ、眠くなったら寝て……。その生活を繰り返した。
そして彼女はだんだんその生活に飽きてきた。なんせ、話し相手がいないのだから、つまらないのだ。
 彼女は人恋しくなって、そろそろ時間を動かそうかと指輪に息を吹きかけた。
指輪は美しい緑色になった。彼女は1階へと降りて行き、母たちと何を話そうかと考えていると、兄がこちらを見つめて、目を丸くしている。
彼女は不思議に思い、どうしたのか尋ねようとしたその時、兄が言葉を発した。

「……誰?」

 彼女は驚きで、言葉を失った。兄は冗談を言うような人ではない。
兄の言葉に疑問を持った母が、こちらへとやってきた。

「え……」

 母も同じように目を丸くしている。

「ど、どちら様?」

 彼女はふと、アクマの言葉を思い出した。

『自分の時間は止められないからね?』

 彼女は慌てて洗面台へと行き、鏡を見た。そこには白髪の交じった少し太ったおばさんがいた。
「いやぁ―!!!」
 
彼女はそう叫ぶと、自分の部屋へと入り、布団にもぐりこんだ。
緑に光る指輪がやけに目に入る。
彼女はイラッとして、その指輪を取って、窓の外へと投げ捨てた。
『あーあ。指輪は取っちゃいけないって言ったのに。契約終了だね』
 どこからか、アクマが彼女の目の前に現れた。彼女はアクマを睨む。
『そんなに睨まないでよ。僕、忠告したしね。苦しみから逃げて、快楽に溺れた罪だよ』
 アクマは怪しく微笑む。彼女は泣き崩れてしまった。
『それと、勝手に契約を破った罰として、君の存在する時間を止める。もちろん、君の周りだけ。今までと一緒さ』
 彼女の顔が引きつった。
「やめて……」
『独りが怖いのかい?愚かな人間だ。そうなることを望んだのは君だろう?君は周りが誰も何も言わないから、お金を払わずとも好きなものをもらって、苦しみから逃げて、好き勝手自由にして楽しんでいたじゃないか。これからも、そんな生活が続くんだ。これ以上幸せなことはないよ』
 アクマはいつもの笑顔を見せた。しかし、彼女はその笑顔に恐怖を覚えた。
「私は……こんな生活を望んでいたんじゃない……」
 彼女は泣きそうな、消え入りそうな声で言った。
アクマは一瞬にして、冷たい表情になった。
『君が望んだんだよ。苦しみから逃げた先にある楽園に行きたいってね』


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