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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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12/20/18:14  事件

 
 二人がゆっくりとカフェでコーヒーを飲んでいると、1人の黒いパーカーのフードをかぶっている男が入って来た。
佳奈美はその男を見て、直感的に『危ない』と感じた。
「…サクラ、行こう」
「え?もう?まだよくない?
「いいから。ここにいたら危ない」
 佳奈美のいつもと違う態度に気づき、櫻子も危険を感じたのか、あまり抵抗せず素直に飲みかけのコーヒーを置いて立ちあがった。
その刹那、拳銃の音が鳴り響いた。

―バンッ!!―

「そこを動くな」
 男の低い声が響いた。
誰もが何が起こったか分からないようで、動けずにいる。
櫻子は突然の出来事に、腰を抜かしてその場にしゃがみこんだ。

―ガタッ― 

 男は櫻子の方を見て、ゆっくりと近づいてきた。
佳奈美は舌打ちをすると、櫻子をかばうように、櫻子の前に立った。
男は驚いて、目を丸くしている。佳奈美が男の持っている銃に全くと言っていいほど、恐れていなかったからだ。
「この子に近づかないでください」
 佳奈美は静かに男に微笑みかけた。その微笑みはどこか冷たかった。
その微笑みを見て、男はより一層目を大きく開かせている。
「もう一度言います。この子に近づかないでください」
 佳奈美の笑顔に男はおびえて、少し後ずさった。
「ほら、サクラ、行こう。大丈夫だから」
 佳奈美は優しく櫻子にそう微笑むと、櫻子は佳奈美の手を借りて立ちあがった。
そして、堂々と男の横を通り過ぎて店から出ようとした。
しかし、横を通り過ぎる瞬間、男が櫻子の手を引き頭に拳銃を突きつけた。
「こいつの命がどうなってもいいのか」
 男はおびえながら、佳奈美を睨んだ。
「あたし、言いましたよね?その子に近づかないでくださいって」
 佳奈美は怖いくらいの笑みで、男に近づいた。
男は恐怖で少し後ずさる。
「その子を放してください」
 佳奈美は笑顔を消して男を睨み、冷たい声でそう言い放った。
「く、来るな!これ以上近づくとこいつを撃つぞ!」
 男は震えながら、怒鳴った。
「……っち」
 佳奈美は舌打ちをすると、近づくのを止めた。
男はほっとしたような顔を見せると、大声で叫んだ。
「こいつの命が惜しければ、この店を今すぐ閉めろ!カーテンも、カギも、すべてだ!ここを我ら『Arthur』の基地として利用させてもらう!」
 その場にいた誰もが固まった。もちろん、佳奈美もだ。
「『Arthur』……?」
 『Arthur』とは、反政府組織であるとても頭の良い犯罪組織である。
過去にも何度か非情な事件を起こしているそれなりに有名な組織で、佳奈美と過去に関係がある。
「早くこの店を閉めろ!……殺されたくなければな」
 男の低い声に、店員が慌てて店を閉め始めた。
出入り口のドアにはカギを閉め、カーテンをすべて閉めた。
その作業がすべて完了されたとき、突然無機質な機械音が響いた。

『皆さん、こんにちは』

―ビクッ―

 感情のこもっていない機械の声に、その場にいた誰もが背筋を凍らせた。

『突然、おじゃましてすみません。私どもの自己紹介をさせていただきますね。私たちの名は…「Arthur」。知っていますかね?あの政治家無差別殺人事件を起こした反政府組織です』

 誰かが息をのむ音が聞こえる。
それくらい辺りは静かで、誰も話そうとしない。
「『Arthur』…」
 佳奈美は一言そうつぶやいた。その声はその場に響いた。

『おやおや…佳奈美さんではないですか。お久しぶりですね』

 その声に、辺りの者が佳奈美を見た。
そして、近くにいた者は慌てて距離を取った。
「……安心して下さい。私は『Arthur』の仲間ではありません。昔、この人たちにひどい目に遭わされた、被害者です」
 疑いの目を向ける人々に嫌気が差しながらも、佳奈美は淡々と言った。
人々は安心したように佳奈美との距離を縮めた。
そんなことにはお構いなしに、佳奈美は天井を向いて少し大きめの声で言った。
Arthur。今回は何が目的なの?」

『まぁまぁ、そう焦らずに、ゆっくりお話でもしましょうよ。久しぶりのご対面なんだから』

「……」
 誰もが口を閉じ、沈黙が長いこと続いた。

『もしかして、
Fが捕えているのは田村財閥の御嬢さんじゃないですか』

 沈黙を破ったのはスピーカーから聞こえる機械音、すなわち
Arthurと呼ばれる男だった。
 櫻子は静かに声が流れるスピーカーを睨んだ。
「サクラ、落ち着いて。大丈夫だよ」
 佳奈美は櫻子に微笑んだ。
それを見て、櫻子は落ち着いたようで、睨むのを止め、一言も話さなくなった。

『ふふふ。相変わらず二人の友情は変わらないようですねぇ。うらやましい限りですよ』

 
Arthurはバカにしたように言った。
佳奈美はスピーカーの隣にある監視カメラを睨んだ。
その姿はどこか悲しそうでもあった……。



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コメント

お久しぶりです。スパイラル読ませて頂いています。なんだか読んでみてとても面白く、楽しめる作品ですね。驚いたのは文章力が格段に上達していて初期の作品よりはるかに熟達していました。今までの経験を活かして、ミステリーの要素を取り入れ、よりすばらしい作品を書いて頂ければと思います。なんだか文章力が非常によく、僕もそのうち追いつかれるかもしれないと思いました。書き終えたら、感想書くので楽しみにしていて下さい!執筆頑張って下さい。上手くなってきたので基本的なことができてことで、僕の指摘する内容も少なくなり、作品のストーリーや、技法的要素に限られると思います。楽しみにしていただければと思います。

Re:コメント
ありがとうございますm(__)m
現代文の授業で、芥川龍之介や太宰治、夏目漱石の小説を習って、そこから学んだことが多かったです。
それが作品にも影響しているのかもしれません。
イッチーさんも頑張ってください!
2013/12/20 20:45
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