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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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03/07/12:27  動き出す英輔の過去


 推理は家に帰るとすぐに英輔に電話をした。
「もしもし、英輔?」
『そうだけど。急にどうしたの?電話なんて珍しいじゃん』
 英輔は推理から急に電話があったので、少し驚いている。
「……うん。あのね、話したいことがあるの。できれば、会って話がしたい」
『なんか、あったの?仕事の話?』
 推理の真剣な声に、英輔も少し低い声になった。
「仕事じゃなくて、あのことの話」
 英輔が電話口で息を呑んだような感じがした。
しばらくしてから、英輔は返事を返した。
『……わかった。今からお前の家に行けばいい?』
「あたしが英輔の家に行ってもいいよ。そこは英輔に任せる」
『じゃあ、俺がお前んちに行くから、待っていて』
 電話をしながら、もう行く支度を始めたのだろうか。
電話の向こうで音がする。
「了解。うち来たら、インターフォン鳴らしてね」
『おう』
「じゃあ、またあとで」

―ップーップーップーップー……―

 推理は流れる無機質な音を聞きながら、小さくため息をついた。

 しばらくして、推理の家のインターフォンが鳴った。
推理は英輔が来たことを知り、玄関へと向かった。
玄関では、推理の母、賢子がすでに英輔を出迎えていた。
「あら、英輔君、お久しぶりね。推理に用があったの?うちに来るなんて珍しい」
 賢子は笑顔で英輔を出迎えている。
しかし、昔の職業柄か、細かいことが気になるようだ。
「あたしが呼んだの」
 英輔が何か言う前に、推理が話に入った。
「推理、いたならいると言ってよね。急に話に入ってきて、びっくりしたじゃない」
 賢子は驚いて目を丸くしている。
「今さっき来たの。英輔、リビングに入って」
 推理はそう言うと、自分はキッチンへと向かった。
賢子は一瞬不思議そうな顔をすると、英輔に向き直り笑顔を見せた。
「どうぞ、入って」
「お、おじゃまします」
 推理の不穏な空気を感じたのか、英輔はどこか緊張した顔つきで、リビングへと入っていった。

 しばらくして、推理がお茶を三人分持って、リビングに入ってきた。
賢子は空気を読んで部屋を出ようとしたが、推理がそれを止めた。
「ママにも話を聞いてほしいから、座って」
 推理の真剣な顔に、ただならぬことを感じ取ったのか、賢子も席に着いた。
「……で、話って何」
 英輔が本題を切り出した。
「……もしかしたら、また奴らが動き出したかもしれないの」
 推理は重い口調で話し始めた。
「は?」
「え?」
 英輔と賢子は驚きの声を発する。
「奴らって……英輔君のストーカー?」
「いや、ちょっと待ってください。ストーカーなんて言わないで下さいよ。あいつら、別に俺のこと好きで追いかけまわしているわけじゃないんですから」
 英輔は賢子のボケに苦笑いをしている。
「いやいや、彼らのしていることは十分なストーカー行為よ。訴えられるレベル」
 賢子は真面目な顔で反論をしている。
「ちょっと、今はそんな話どうでもいいの。とにかく、二人の思っている『奴ら』が動き出したかもしれないんだって」
 推理が真剣な顔をして、二人のボケツッコミに終止符を打った。
その一言で、二人が顔をひきつらせた。
推理の表情が、真実だということを物語っていたからだろう。
「……なんで?その根拠はあるの?」
 そう尋ねる英輔の声は少し震えているようにも思える。
「この間、探偵部に可愛い女の子が依頼に来たんだけど、英輔も知っているよね?」
「ああ。でも、俺その依頼引き受けてねぇよ?それ引き受けたの、智だ」
 英輔はいぶかしむように推理を見る。
「それはあたしも知っている。あたしも、その依頼の手伝いをさせられたしね」
「それでなんで、奴らが関わってくるんだよ?」
 英輔は訳が分からないというような顔をしている。
「彼女がね、しきりに英輔のことを聞いてきたの。英輔のことが好きとか言う感じじゃなかった。……だからね、ちょっと気になって、罠を仕掛けてみたの」
 推理はそういうと、二人の顔を見た。
「英輔に神崎高校の彼女がいるって、その子に言ったの」
「「ええ?!」」
 二人は声をそろえて驚いた。
「神崎高校って……もしかして、香恋ちゃんのこと?」
 英輔は少し顔をひきつらせて尋ねた。
「そうだよ。だから、香恋ちゃんにも協力してもらおうと思って」
 推理はまっすぐに英輔を見つめる。
英輔はその視線に耐えられず、目をそらした。
「……根拠もないのに、周りを巻き込むなよ」
「何もなければ、ただの噂だったってことにしておけばいい。もし、その情報が奴らにわたって、奴らが何か動き出したら、奴らが動き出したことが真実になる。確かめるにはうってつけでしょう?」
 英輔は何も言えず、黙って下を向いた。
賢子も、複雑そうな表情をしている。
そんな賢子が口を開いた。
「その……香恋ちゃん、だっけ。その子を巻き込んで平気なの?少し危ないんじゃない?」
「彼女はただの高校生じゃないから、その辺は信頼できるし、大丈夫だと思う。何かあっても、絶対に危害がないようにする」
 推理は強く答えた。
賢子はそんな推理の様子を見て、少し頬を緩ませた。
「あなたがそんな風に言うなら、きっと大丈夫なのね。まぁ、何か英輔君にあってからじゃあ遅いから、私は推理の作戦に賛成。早いうちに手を打っておくべきだと思うわ」
 賢子は英輔に視線を送る。
英輔は小さくため息をつくと、覚悟を決めたように推理の方を見た。
「分かったよ。それで、香恋ちゃんにはその話をしたの?」
「それが……まだなの。智には話したんだけどね」
「俺の過去も?」
 英輔は冷めた目で、推理を見つめた。
推理は目をそらしたくなったが、負けじと目をそらなかった。
「言うわけないじゃん。それは英輔の口から言った方が良いと思って」
 英輔はほっとしたように息をつくと、小さな声でつぶやいた。
「……言わなきゃ、ダメだよな」
「智たちに協力をしてもらうには、言わなきゃダメだよ。大丈夫、智たちなら英輔の過去を受け止めてくれる」
 推理は優しく笑った。
「これ以上英輔が苦しまないためにも、あたしは話してほしいな」
 いつになく引かない推理に負けたのか、英輔は小さくうなずいた。
「……明日、話すよ」
 推理と賢子はそんな英輔の様子を見て、嬉しそうに頬を緩ませた。

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