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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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07/19/16:55  依頼者



 放課後になり、推理は智との約束を覚えていたが、あえて忘れているふりをして、帰ろうとしていた。
しかし、そのとき……。
「あぁ、やっぱり部長の言った通りだった!中山先輩、逃げようとしている!」
「げ……」
 背の高い、やけにテンションの高い男子生徒が、推理に向かって走って来た。
どうやら、探偵部員のようで、推理はそちらの方を振り返らず逃げようと走り出す。
しかし、男子生徒の方が足は速く、あっというまにつかまってしまった。
「全く……。協力してくれるんじゃなかったんですか!?」
 男子生徒は推理に向かって大きな声で言った。
「あ、あたしは、まだ協力するなんて……」
 推理はあからさま嫌そうな顔をして、逃げようと抵抗をする。
「いいから、早く部室に行きますよ!」
 しかし、男子生徒はそんな推理を無視して、無理矢理引きずって行ったのであった。

―探偵部部室―

「なんでこうなるの……」
 そう嘆いているのは推理。
やりたくもない仕事をやらされているのだから、仕方ない。
「いいじゃん。どうせヒマなんだろ?」
 智がいつまでも嘆いている推理に言った。
「ヒマじゃないし。あたしは忙しいっていったよね?」
 推理は智を睨んだ。
「お前に睨まれても怖くないっつうの」
 智は睨む推理を見て笑った。
「いいかげんあきらめて協力したらどうですか?」
 推理を連れていったテンションの高い男子生徒が、笑いながら推理に言った。
「……はぁ。分かったよ。協力する。で、どういう依頼なの?」
 推理は諦めたように、小さくため息をついた。
「お、そうこなくっちゃ!で、依頼はこの紙の通り。今日、依頼者が来るから、その時にでも詳しく聞いて」
 智はそう言うと推理に資料を渡した。
推理はもらった資料を、何も言わずに見ている。
「あ、山田君。緑茶ちょうだい」
 と、思ったら、先ほど推理を連れていった男子生徒、すなわち山田健太に話しかけた。
健太は、「はぁ?」というような顔で推理と智との間で視線を行き来させている。
智は、少し笑いながらうなずいた。
健太はため息をつくと、部室の奥にあるキッチンへと行った。
推理は健太が奥へと行くのを見届けると、静かにため息をついた。
「はぁ……。これって、どうみても英輔狙いだね」
「うん」
 智は自分で用意したコーヒーを飲んだ。
もちろん、ミルクも砂糖も入っている甘いコーヒーだ。
「この依頼は、引き受けない方がいいかもよ?英輔のためにも」
 推理は淡々と資料を見ながら言った。
「んん…でも、そういうわけにはいかないんだよね」
 智は困ったように頭を掻いた。
ちょうどその時、健太が戻って来た。
自分の分のお茶と、推理のお茶を持っている。
「はい、どうぞ」
 健太は推理の前にお茶を置き、智の隣に座った。
「どういうこと?」
 推理は真面目な顔で智に尋ねた。
「今回の依頼者、山田の幼なじみなんだよね」
 智は困ったように笑った。
「ちょっと、部長!それは秘密って言ったじゃないですか!」
 健太は恥ずかしそうに智を叩きながらうつむいた。
「別にいいじゃん」
智は面白そうに笑った。
「なるほどね……」
 推理はそういうと、何か考え始めた。
智は健太をからかっている。
突然、推理が健太に向かって話しかけた。
「ねぇ、山田君。山田君の幼なじみ、可愛いんだって?」
 二人の動きが止まった。
「きゅ、急にどうしたんですか!?」
 健太は顔を真っ赤にさせて、うつむいた。
「いや、智が可愛いって言っていたからさ」
「ぶ、部長……」
 健太は顔を真っ赤にさせたまま、智を睨んだ。
「だって、事実だろ?お前も、『かわいすぎる』って言っていたじゃん」
 智は面白そうに健太をからかった。
健太はさらに顔を赤くして、お茶を飲もうとした。
「へぇ。山田君ってその子のこと好きなんだ」
 さらっと言った推理の言葉に、健太は飲んでいたお茶を吐き出そうになった。そして、顔を真っ赤にさせると両手を大きく振った。
「ち、ち、違いますよ!お、俺は別にそ、そんな……」
「こいつに嘘言ったって、通じねえよ?何でもお見通しなんだからな」
 智は笑いながら言った。
「……うぅ……」
 健太は恥ずかしそうにうつむいた。
「でも、大丈夫だよ。山田君カッコいいし、優しいからきっと両想いになれるよ」
 推理の衝撃の一言に、健太はびっくりして顔をあげた。
そこにはニコニコと笑う推理の姿があり、健太はさらに顔を赤くして、そっぽを向いてしまった。
推理はそんな健太の様子を不思議そうな顔で見ると、首をかしげていた。
鈍感な女子とは怖いものである。
そんな様子を見て、智は笑いをこらえていた。


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