ネコの図書館
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02/14/17:48 捜査資料から導かれる真実しばらくして、佳奈美は資料から顔をあげた。 「岡村さん、この男性の殺人事件もArthurが仕組んだことかもしれませんね」 「え……?」 知也は何を言っているのか分からないような顔をしている。 「じゃ、今日は失礼します」 佳奈美は一方的にそう告げると、その場を去った。 知也はその後ろを慌てて追う。 「ちょ、ちょっと、佳奈美ちゃん!それってどういうこと?」 「そのままの意味ですよ」 佳奈美は面倒くさそうに答える。 「ちょっと、捜査協力してくれるんなら、俺らにも情報提供してくれよ」 知也は必死で後ろをついていく。 佳美は突然歩くのをやめた。 知也は突然のことに驚いて、佳奈美にぶつかりそうになった。 「おっと……」 佳奈美は知也の方へと振り返った。 「Arthurは誰かを殺す気があるときは殺し屋を雇います。それか、憎しみの中に生きるかわいそうな人を利用するか、どちらかです」 「……つまり、この事件は殺し屋による殺人だから、Arthurの仕業だというのか?でも、そうは言い切れないと思うぞ」 知也は真面目な顔で佳奈美に言った。佳奈美は少し笑みを浮かべた。 「先ほど見せていただいた、殺された森岡さんの資料ですよ。森岡さんはギャンブルにより多額の借金を抱えていたんですよね?それなのに、森岡さんは殺される前、借金取りに『もうすぐ1億円が手に入るから』と言った。それはなぜか?」 「誰かにその1億円をもらえる確証があったから」 知也は佳奈美の代わりに答えた。 「その通りです」 佳奈美はほほ笑んだ。 「では、その1億円は誰からもらえる予定だったのか?それは、おそらく、殺される直前に待ち合わせしていた人間でしょう。すなわち森岡さんを殺した犯人」 「じゃあ、森岡さんは殺し屋と待ち合わせしていたということか?」 「そういうことになりますね」 「しかし、協力者がいたらそうとは言い切れないんじゃないか?」 知也は不思議そうな顔をした。 「たったひとりを殺すのに、協力者なんて必要ですかね?ましてや、殺し屋なら協力者なんていらないと思いますよ」 佳奈美は逆に不思議そうな顔をした。 「しかしなぁ……森岡さんを呼び寄せるために顔見知りが協力した可能性もあるぞ」 「その可能性はありません。殺し屋は顔を見られたらまずいですからね」 「そうか……。確かに、森岡さんは至近距離で背中を撃たれて亡くなった。そう考えると、やはり殺し屋単独での犯行になるのか……」 「そういうことです」 佳奈美はそう言うと、小さく微笑んだ。 「だからと言って、この事件がArthurの仕業だとは言い切れない」 知也は厳しい顔をした。しかし、対称的に佳奈美は余裕そうに笑った。 「あくまで、一つの可能性ですよ。じゃ、今日はこれで」 佳奈美は軽く会釈をすると、出て行った。 知也は何かを考えているようだった。 PR
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