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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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11/16/22:20  愛される者


 拳銃の音と共に倒れたのは、綾乃だった。
「っくっ……どうして……」
 綾乃は佳奈美を強く睨んだ。
綾乃を撃ったのは佳奈美であった。
佳奈美は、綾乃の足に向けて発砲した。
「……綾乃は……綾乃は、私の大切なものを奪おうとして、傷つけた……。それの、報いだよ」
 佳奈美は悲しそうな顔をして綾乃を見た。
「……私になら簡単に撃てるのね……」
 そして、綾乃は屈みながら、少し寂し気に微笑んだ。
「綾乃!!」
 三井が慌てて綾乃に駆け寄ろうとするが、その場にいた警察官に阻められる。
「……岡村さん、救急車を呼んであげて」
 佳奈美はそう言うと、綾乃に背を向け高広の側へと寄った。
「ごめんね、高広……。私のせいで、本当にごめん」
「別に、お前のせいじゃないよ。悪いのは、Arthurの奴らだ。お前は、全く悪くない」
 高広はそう言うと、佳奈美を抱きしめた。
「佳奈美の方が、怖かっただろ。もう大丈夫だからな」
 知也は柔らかく微笑むと、羨ましそうにしている綾乃へと近づいた。
「お前、ただ佳奈美が羨ましかったんだろ?自由になって、大切な人に守られているあいつが」
「……羨ましくなるに決まっているじゃない。私は……私は、いつまで経っても、あの子のように愛され守られない。あの子はArthurに誘拐された子だったけど、私は親に捨てられてArthurに拾われた子。その時点でもう、私はあの子と違ったの」
 綾乃はそう言うとうつむいてしまった。
知也は小さくため息をつくと、綾乃に向かって言った。
「お前だって、愛されて守られているじゃねぇか。三井だっけ?あの男、お前のために殺人まで平気で犯そうとするんだぜ?相当お前に惚れ込んでいるよな」
 知也の一言に、綾乃は顔を赤くした。
「そ、そんなの、あいつもただArthurに復讐したかっただけよ。利害が一致しただけであって、あいつが私なんかのことを好きなわけない」
 そんな綾乃の声が聞こえたのか、三井は大きな声で言った。
「バカ!俺は……俺は、お前だからここまで協力したんだ。お前が好きで、大切だから、守りたいと思ったから、救いたいと思ったから、お前の側にいたんだよ!……なんでお前は自分のことになると鈍感なのかなぁ……」
 三井は切なそうな顔で綾乃を見る。
三井の大きな声にその場の全員が驚いて、三井と綾乃を見ている。
綾乃は目に涙を溜めて、小さな声で「ありがとう」と言った。
タイミングを見計らったのか、警察官が三井を部屋から連れて行った。
「……私、自分は愛されるはずのない人間だと思っていたわ。でも、こんな私でも愛してくれる人はいるのね」
 綾乃はそう言うと、涙を流した。
「お前は、自ら愛されようとしなかったんだよ。人は、愛することで愛される。大切にすることで大切にされる。お前は誰も愛さなかったし、大切にしなかった。だから、ずっと孤独を感じていたんだ。その点では、三井の奴、すごいよな。お前に愛されていないと知っていながらも、お前を愛し続けたんだから」
 綾乃は知也の言葉に崩れ落ちた。
佳奈美はその様子を見て、そっと綾乃に近づいた。
「綾乃。私ばかり自由になってごめん。ずっと……ずっと、綾乃のことが気がかりだった。私ばかり自由になってひどいと思っていた。だけど、そんなこと言っても今更だよね。私のこと、憎んで良いよ。私のことを目の敵にして、私への憎しみを糧にしてでもいい。綾乃には生きてほしい。自由に、綾乃らしく生きてほしい。だからね、復讐が成功しなかったからって、死ぬようなことはしないでほしい。……三井君のためにもね」
 綾乃は、小さな声で、
「バカ……なんで、なんでそんなこと言うのよ……。憎みきれないじゃない……」
 と、再び泣き崩れてしまった。
その様子を見て、佳奈美は少し悲しそうな顔をして、高広とともに出ていった。
知也は、綾乃が落ち着くまで、優しく背中を撫でていてあげたのであった。


 


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