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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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09/27/13:07  事件とArthurの関わり、そしてArthurの情報


「で、どっからその証拠が出てきたんですか?」
 佳奈美は面白そうに知也に言った。
知也は複雑そうな顔をして、話し始めた。
「殺し屋の女が、Arthurから依頼されたと自供したんだ」
「へぇ……。やっぱり」
「佳奈美ちゃんは、どうしてつながっていると分かったんだ?それだけ、教えてくれ」
 知也は真剣な顔で佳奈美を見つめた。
佳奈美は困ったように頭を掻くと、苦笑いをした。
「どうしてって言われてもね……。フィーリングっていうんですかね?今までのArthurの事件からみると、この事件もArthurのやりそうな事件だって思っただけです。深い根拠はありません」
「深い根拠はない……か」
 知也は小さくため息をついた。
(この子は本当にすごい子だ。勘も洞察力も、ずば抜けて素晴らしい。さすが天才と呼ばれるだけある)
「それと……」
「お待たせしました」
 知也が何かを言いかけたとき、それを遮るように春が入って来た。
「お前な、タイミング悪い」
 知也は笑いながら春に突っ込んだ。
春は少し戸惑っている。
「す、すいません……」
「まぁいいや。ここで話す?それとも、違う場所にする?」
「あ、、俺はどこでも良いですよ。二人にお任せします」
「じゃあ、移動をするが面倒くさいから、ここで良いです」
 佳奈美は面倒くさそうにそう言うと、二人は苦笑いをした。
そして知也の隣に春は座った。
「で、まずは何を聞きたいんですか?俺、そんなにArthurについては知らないですけど」
 春はそう言うと、カバンからペットボトルのお茶を取り出して、飲んだ。
「尾山田くん、Arthurとどういう関係なの?」
 佳奈美はこの機会を良いことに、堂々と聞いた。知也も真剣な顔で春を見つめる。
「どういう関係って……俺はただの傍観者ですよ」
 春はうつむきながら言った。
「傍観者?じゃあどうして、私の大切な人達が狙われるって知っていたの?」

「それは……」

「ねぇ、しらばっくれないで、すべて教えて。それとも、教えちゃいけないような地位にいるの?」
 佳奈美は前に乗り出して、春を見つめた。
春は困ったように視線をそらせ、小さくため息をついた。
「……俺、情報屋をやっているんです」
 春は小さな声でそう言うと、再びお茶を飲んだ。
「そういうことか……」
 佳奈美はすべてがつながったかのように、少し笑みを浮かべた。
知也は何か考えているようだ。

「っていうことは、情報を売ってくれって言ったら売ってくれるのか?」
 少しして、知也は春にそう尋ねた。
春は驚いたように目を丸くした。
「売りますけど……もしかして、情報を買う気ですか?」
「ああ。だって、このままじゃあ、らちがあかねぇ。
Arthurを止めるには、情報が必要なんだ」
 知也は真剣な顔で春を見つめる。
春は困ったように頭を掻いた。
「……先輩にはお世話になったから、情報を売るならただで売りますけど、さすがに警察に情報を売るのはなぁ……」
「自分の命が危なくなる?」
 佳奈美は嫌みっぽく言った。
春は小さくうなずく。
「情報屋をしている時点で、常に命は狙われているんじゃないの?」
 佳奈美は小さくため息をつきながらそう言った。

「そうなんだけど……まぁいっか。分かりました、情報を売りますよ」
 春は覚悟を決めたように顔をあげた。
佳奈美はその言葉を聞くと、ニヤッと笑った。
「そうこなくっちゃ」
 知也は複雑そうな顔をしている。
「だけどお前、殺されないか?Arthurだったら、情報の回りもいいだろうし、お前が情報を売ったって知ったら、危ないんじゃ……」
「ふふっ。先輩、何言っているんですか。いちいち自分の命の安全を確かめていたら、情報屋は務まりませんよ。それに先輩が、俺が殺される前に
Arthurを逮捕してくれたらいいだけの話です」 
 春は感情のこもっていない声で、笑った。
その目の奥は笑っていない。
「そうだけど、お前っ……」
「先輩。俺はもう、あの時の俺じゃないんです。先輩みたいに、まともに生きていけたら良かったんですけどね……」

 春は悲しそうにそう言うと、笑顔を作った。
「ま、そんなことはどうでもよくて、Arthurの何を知りたいんですか?俺の知っている限りの情報を教えます」
 知也は悲しそうな顔をして、春から目をそらした。

Arthurの目的は?」
 佳奈美は表情を変えず、淡々と質問を口にした。

Arthurの今の目的は、頭の良い奴らを集めること。そのあとどうするのかはまだ分からない」
「頭の良い奴らを集めること?」

 佳奈美はいぶかしむような顔をした。

「うん。そのリストの中に、川島さんの名前もあった。だから、俺は忠告したの。俺が考えるに、
Arthurが頭の良い奴を集めようとしているのは、頭の良い奴らが自分たちについて調べることを恐れているからだと思う。調べていないってわかれば、手を出すこともないだろう?それか、頭の良い奴らを利用して、何かを企んでいるか」
「ふぅん、そういうこと……」
 佳奈美はそう言うと、何かを考え込んでしまった。

「そのリストはないのか?」
「残念ですが、そのリストは手に入りませんでした。さすがArthur、ただでは情報をくれませんね。セキュリティが半端なくて」
 春は知也からの質問に、苦笑いをして答えた。

「じゃあ、その集める方法は?」

「それなら、分かります。ちょっと待って下さい」
 春はそう言うと、カバンの中からタブレットとパソコンを取り出した。
そして、タブレットを和也達の前に置き、パソコンを操作し始めた。

しばらくすると、タブレットにある画面が映し出された。

「これが、その方法です」

 二人はタブレットを覗き込む。

そこには、世界一頭の良い人を決めるという名目のトーナメントの計画表があった。

「……ふぅん。こんな単純なので集まるのかな」

 佳奈美は体制を元に戻すと、小さくため息をついた。

「本当だよな。頭の良い奴らがこんなトーナメントに参加するとは思えない」

 知也も、難しい顔をしている。

「多分、大切な人を誘拐とかして、参加せざるを得なくするんだと思いますよ」

 春は再びパソコンをいじり始めている。

「そして、このトーナメントで頭の良い人を選出するのか。やることは相変わらずだね」

 佳奈美はそう言うと、大きく伸びをした。

「これはいつ行われる?」

「それがですね……。調べても、実際に聞いても、『未定』としか分からないんですよ」
 春はパソコンをいじりながら答えた。
「実際に聞いてもって……お前、まさか
Arthurに忍び込んでいるのか?!
 知也は驚いたように口をあんぐり開けた。

「まぁ。そうでもしなきゃ、情報は手に入りませんよ」

 春はそんな知也に苦笑した。

「それじゃあ、お前、顔も向こうにばれているのか
?
「そういうことですね。だから、もし俺のことを調べられたら、確実に殺されます」

 春は平気な顔して、残酷なことを口にする。

「殺されるって……春!今すぐそんな仕事は止めろ!」

 知也は怒ったように言った。

そんな知也を春は悲しそうな顔で見つめる。
「先輩には、分かんないですよ。俺がこの仕事を続ける理由なんて」
「だけど、お前、あのことはもう解決しただろ?お前がもうそんな危ない世界で生きる必要はないだろ」

 知也は真面目な顔をして、春を見つめる。

しかし、春の視線はパソコンの画面のままで、知也と目を合わせようとしない。

「俺だって、こんな仕事、すぐに止めたいですよ。だけどね、一度こっちの世界に踏み入れたら、もう抜けだすことは出来ないんです」

 知也は諦めたように、小さくため息をついた。

「……なんで、そっちの世界に足を踏み入れたんだ」

「なんでって、ある知り合いの人が紹介してくれたんですよ。昔からパソコンとかに強かった俺に向いている仕事があるって。まぁ、確かに、この仕事は俺に向いていますよね」

 佳奈美は何も言わずに、じっと春の目を見つめている。

「断れば良かっただろ?賢いお前じゃあ、危ない世界だって分かったはずだ」
「断れるわけないでしょう?こんな良い仕事、断ったってなんの利点もない」
「だからって、命の危険を冒してまで……」
「俺が死んだって、誰も悲しまないし、誰も損しない。そんな悲しい人生を送るくらいなら、『情報屋』っていう仕事をして、俺を必要としてもらおうと思ったんです。俺がいなくちゃ、損する人も現れるだろうしね。まぁ、その分、俺の存在は疎まれますけどね」

 春は淡々と言葉を口にする。その目には感情がこもっていなかった。

「……俺は、俺はお前がいなければ悲しむぞ」
 知也は苦しそうにそう言った。
「そんなの、口だけですよ。先輩には悪いですけど、人は平気でうそをつくんです。最初は俺が死んだことを悲しむかもしれないけど、いずれは俺の存在を忘れる。人間って、そういう動物なんですから」

 春はそう言うと、パソコンを閉じた。

「今日はもういいですか?次の情報はまた今度。まぁ、次に会う前に殺されていたら情報はあげられませんけど」
 春は小さく笑うと、席を立った。
「待てよ。お前、そんなんで人生棒に振って良いのか?」

 知也は春を呼びとめると、真っすぐに春を見た。

「別に、構いませんよ。俺は今の仕事、スリルがあって楽しんでいますから」

 春は再び小さく笑うと、店を出て行った。

知也はため息をつくと、席に座った。

「なんで……」
「岡村さん。あんまり人の事情に顔を突っ込まない方が良いですよ」
 佳奈美はそう言うと、席を立った。
「ごちそうさまです」
 そう言葉を残すと店から出て行った。知也は茫然とそれを見送る。
「……なんだよ」
 知也は大きくため息をつくと、席を立ち、会計をして店から出て行った。




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