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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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03/04/21:35  「賢者No.1を決める大会」第二回戦4



 佳奈美はカードにかけた手を一度戻した。
「あれ?引かないんですか?」
 和樹はわざとらしく首をかしげる。
「……」
 佳奈美は黙って、和樹の顔を見た。
和樹はそんな佳奈美に驚いて、一度目を合わせると、そらしてしまった。
「……ふぅん」
 佳奈美はそう一言言うと、先ほど手をかけたカードを引いた。
和樹は驚いて目を丸くした。
「は…?」
 佳奈美の引いたカードはジョーカーではなかった。
「さあ、一枚どうぞ?」
 佳奈美は自分の二枚のカードを差し出した。
和樹はまだ動揺が隠せていない。
「なんで……なんでそのカードを取ったんですか?あからさま怪しかったのに……」
「あなた、リスクを避けるタイプでしょう?」
 佳奈美は薄く笑みを浮かべる。
「は?なんでそんなこと……」
「さっき目を見たとき、あなたは目をそらした。何か見透かされるのが怖かったんじゃないですか?自分のリスクを避けた弱さを見破られたくなくて」
「何を言ってるんですか。僕がリスクを避ける?リスクを避けるようなチキンだったら、僕はここには来ませんよ」
 和樹は動揺を隠すように、余裕を装った。
「それなら、どうしてこのカードはジョーカーじゃないんでしょう?もし、あなたが目をそらさなかったら、私は間違いなく他のカードを選びました。この状況で目をそらさないってことは嘘をついていないってこと。つまりそのカードは間違いなくジョーカーだということになりますから。でもあなたは目をそらした。あなたはジョーカーを敵に教えるなんてリスクを冒せない意気地なしってことが分かったんです」
 佳奈美の言葉に、和樹は動揺を隠せなかった。
(僕の心理が読まれた……?)
「さあ、カードを引いてください」
 佳奈美がカードを差し出す。
和樹は動揺しながらも、カードを引いた。
しかし、カードはそろわない。
 和樹はカードをシャッフルし、佳奈美の前に突き出した。
「そこまで僕の心理が読まれていたなんてね……。参りましたよ」
 和樹は少し悔しそうに笑った。
一瞬で切り替えたようで、動揺した様子は見られなかった。
(意外とメンタル強いんだ……)
 佳奈美はそんな和樹の様子に少し驚いたが、和樹の手にするカードに手を伸ばした。
「さぁて、どれがジョーカーかなぁ?」
 佳奈美は楽しそうに笑みを浮かべながら、和樹の様子をうかがった。
和樹はニコニコと笑うだけで、表情が見えない。
佳奈美は舌打ちしたくなる気持ちを抑えて、深呼吸した。
「私ね、迷ったときは自分の直感を信じるようにしているんです」
 そう言うと、佳奈美は一枚のカードに手を伸ばした。
すると一瞬だけ、和樹の顔が驚いたように目を開いた。
佳奈美はその様子を見て笑みを浮かべると、そのカードを迷わず引いた。
「ふふっ……まだまだですね」
 佳奈美はそういうと、出来上がった最後のペアをテーブルの上に出した。
和樹は呆然としている。
浅川もその様子に驚いたようで、固まっていた。
「私の勝ちですよね?」
 佳奈美はそう浅川の方に向いた。
浅川は佳奈美の声にハッとして、結果を告げた。
「……勝者は川島佳奈美さん。敗者の大山和樹さんはあちらの案内人の指示に従ってください」
 浅川の声を聞くと、和樹は俯いていた顔を上げ、佳奈美を睨みつけた。
「なんで……なんでそんなに余裕なんだよ……!勘が良いにも程があるだろ。何かインチキしたんじゃねぇの?」
「インチキ?そんなもの、してないですよ。それに、最後の一枚はあなたが教えてくれた。上手く私の罠に引っかかって、動揺を見せてくれたから、私は安心してカードを引けたんですよ」
 和樹は悔しそうにうつむいた。
「……どうして、この大会に出たんですか?」
 佳奈美が和樹に尋ねる。
「……僕は昔から賢かった。それなのに、僕には招待状が届かなかった。だから、この大会に参加して、招待客がどれほど頭がいいのか見てやろうと思ったんだ。……結局、僕はそれほどでもなかった、ということを思い知らされただけでしたけど」
 和樹は自称気味に笑った。
「……あなたは、十分に賢いと思いますよ。相手が悪かっただけ。私はそういう教育を受けてきたので、出来て当然なんです。でも、そういう教育を受けていない人の中でみると、あなたは賢いと思います。自信もっていいと思いますよ。まあ……賢いことがこの世界のすべてではないので、それほど賢さにこだわることもないと思いますけど」
 佳奈美がそういうと、和樹は力なさげに、「ありがとうございます」と言って笑った。
そこへ、案内人が来て、
「大山様、そろそろ移動をお願いします」
「……わかりました。川島さん、ありがとうございました」
 和樹は佳奈美に向かって頭を下げた。
佳奈美も、「こちらこそ、ありがとうございました」と言って軽く頭を下げた。
それを見ると、和樹は案内人と共に部屋を出て行った。

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