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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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11/07/21:16  「賢者No.1を決める大会」休憩


「そういやさ、この大会に参加すること、あの店の人たちに言ってあるの?」
「高広たちのことですか?あの人たちに言うと心配するので、言っていません。岡村さんは?」
 佳奈美は会場に来る前に買ったお茶を飲みながら尋ねた。
「俺も言ってねぇよ。言ったところで、問題が大きくなって、ややこしくなるだけだしな」
 知也は「ニコッ」と効果音がつきそうなくらいの笑顔で言った。
そのとき、また機械音が聞こえた。

『ここで、しばらくの休憩をとります。少しのお菓子と飲み物をご用意させていただきました。ご自由にお楽しみください』

 会場にお菓子と飲み物が運ばれてきた。
皆、それぞれそれに手を伸ばし、会話を楽しんでいる。
佳奈美と知也も行こうとしたが、誰かに声をかけられた。
「あのお菓子と飲み物に、何か毒でも入っていたらどうするの?警戒心がなさすぎて呆れるわ。Arthurならやりかねないことよ」
「っていうか、お前らこの大会の開催者がArthurだってこと、知ってんのか?知らないから、そんな風に余裕にしていられるんだろ」
 呆れたように、招待枠のところに座っている女と男が言った。
佳奈美は逆に呆れたように言った。
「ここで、飲み物やお菓子に毒を入れたとして、何の得になるんですか?Arthurは私達を利用したいと思っているはずです。毒なんて入れて殺したって、何の意味もないし、それならこんな風に集める必要はないですよ。」
 その言葉を聞くと、女は黙ってうつむいてしまった。
男は大きくため息をつくと、佳奈美を睨んで言った。
「じゃあ、なんでそんな風に余裕そうなんだよ。Arthurをなめてんのか?」
 佳奈美はいらついた表情を見せると、大きなため息をつき、その男に向かって言った。
「悪いけどね、あたしは大切な人の命をArthurのせいで失っているの。他にも、あたしは大切なものをArthurに奪われた。だから、Arthurの脅威はよく知っています。……きっと、あなたたちよりも、ね」
 佳奈美の瞳が少し悲しそうに揺れた。
男もそれ以上何も言わなくなり、静かに席を立った。
その様子を他の招待枠の者は何も言わずに見ていた。
皆、瞳に闇を抱えているように見える。
「僕、辛い境遇にあったのに笑っている奴ら、嫌いなんですよね。能天気にもほどがある」
 佳奈美の隣に座っている男が、佳奈美たちに聞こえるようにわざと大きな声で言った。
「おい、それ、俺らに向かって言ってんの?」
 知也が眉間にしわを寄せて、その男に突っかかった。
「はい、そうですよ。あなた方以外に、そんな人、いないじゃないですか」
 その男は爽やかに笑ったが、目は笑っていない。
「なんだと……」
 知也がその男に掴み掛ろうとしたが、佳奈美によって抑えられた。
「まあまあ、落ち着いてください。人によって好き嫌いはあるもんですよ」
 そう言って、佳奈美は冷めた笑いを隣に座っている男に見せた。
「いつまでも過去を引きずって、暗い顔をしているあなたたちより、私達の方がずっとましだと思いますけどね。人は笑えなくなったら、終わりですよ?」
 佳奈美と知也以外の招待客の皆が下を向いた。
どうやら、自覚があるようだ。
しかし、隣に座る男は違った。
「っふ。笑うなんてばかばかしい。人はね、笑わなくても生きていけるものなんですよ。笑うことで感情が生まれ、人は傷つく。なぜ人は自ら傷つきにいくようなことをするのか。僕には愚かな行為にしか思えない」
「あはは、可哀想な人だね。そんなんじゃあ、つまんない人生しか送ってこなかったでしょう」
 そう笑う佳奈美の目は、笑っていない。
「まあ、一回戦は乗り越えられても、きっとあなたたちのような人は二回戦は超えられませんよ。そして、あなたたちの大切なものが壊されて、あなたたちも笑えなくなる」
 そんな佳奈美の様子を見た男は楽しそうに、しかしどこか悲しそうに、笑っている。
「それじゃあ、僕もお菓子をいただいてこようかな」
 男はそういうと、冷めた目で佳奈美と知也を見てから席を立った。
佳奈美と知也はその後姿をにらんでいる。
「あいつ、性格、曲がってんな」
「それ、私も思いました」
(あーあ、気分最悪)
 佳奈美と知也は大きなため息をついたのだった。

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