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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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08/19/15:27  奈津子の憂い


 優がミステリー研究会に入って数日が経ち、優はサークルメンバーと名前で呼び合うほどの仲になっていた。そんなある日のボックスで、その事件は愛の疑問により始まった。

「ねえ、最近、奈津子さん、元気なくない?」
 愛が優に問いかけた。優は「確かに」などと返事はするが、あまり興味はなさそうだ。
「恋煩い……とか?」
愛の質問を聞いていた大和が話に入ってきた。
「いやいや、恋煩いも何も、奈津子さんには彼氏がいるはずだよ」
 愛は大和の意見を否定する。その愛の一言に反応したのは優だった。
「え、あの人彼氏いたの?」
「すごくイケメンな彼氏さんだよ」
「へえ。なんか意外」
「あの人、性格がうるさいけど、顔はいいからね」
 大和のその一言に、愛は大和を睨んだ。
「奈津子さんに言いつけるよ」
「ごめん、ごめん。愛ちゃんは会長のこと、大好きだもんな」
 大和は反省していなさそうに、軽く謝る。
「じゃあさ、奈津子さんがそのイケメン彼氏にフラれたって考えるのが一番適当なんじゃない?まあ、恋愛面の悩みってことで絞るとだけど」
 優がそう言うと、大和は大きく頷く。
「あの人にはもったいないくらいイケメンだもんな。顔だけだったら絶対二人とも釣り合っているんだけど、性格がきついしねぇ……」
「大和君!」
 またしても愛が余計なことを言う大和を睨む。そしてため息をつくと、机に頭を付けた。
「奈津子さんからそんな様子、見られなかったんだけどなぁ……。この間も二人でデートしているところ見かけたし」
 愛がそう呟いたとき、ちょうど奈津子がボックスへと入ってきた。
奈津子の表情は少し疲れているように見える。
愛はそんな奈津子を見て、少し大きめな声で名前を呼ぶ。
「奈津子さん!」
「わ、びっくりした。愛ちゃん、急にそんな大きな声出して、どうしたの?」
 奈津子は突然愛に名前を呼ばれて目を丸くしている。
「奈津子さん、最近元気ないみたいですけど、何かあったんですか?」
 愛はそんな奈津子の反応を気にせず、単刀直入に聞いた。
「おいおい……結局、本人に聞くのかよ」
 そんな愛に優は苦笑いをしている。
「そうそう、愛ちゃんがすごく心配しているんですよ。もしかして、彼氏さんと上手くいっていないんですか?」
 大和は愛に便乗して、ニヤニヤしながら話に入る。
「や、大和君!」
 あまりにもストレートな大和の質問に、愛は慌てて大和を黙らせようとするが、大和は愛の耳元で「こういうのはストレートに聞いた方が、会長も話しやすいって」と言うので、仕方なく黙った。
 奈津子は愛と大和の質問に驚いたのか、また目を丸くしている。
「何で……何で分かったの⁉そんなにあからさまに暗かった?」
「俺らはそんなに分かんなかったんですけどね、愛が気付いて」
 優が奈津子の疑問に答える。大和は奈津子の反応に焦ったような顔をしている。
「え、っていうか、マジで彼氏さんと上手くいっていないんですか⁉」
「いや、上手くいっていないっていうか……。別にね、喧嘩したとかじゃないんだ。ただ……浮気、されている気がして」
「「浮気⁉」」
 奈津子が俯いてそう言うと、愛と大和が声をそろえて驚いた。
「ゆ、許せん……。奈津子さんという彼女がいながら他の女と遊んでいるなんて!」
 怒りで思わず立ち上がる愛を、奈津子が落ち着かせる。
「いや、でもね、まだ確実な証拠があるわけじゃないの。本人に聞いても浮気なんてするわけないっていうし……」
 そう言うと奈津子はため息をついた。愛は何かを決意したような表情を見せると、奈津子の向かい側に座った。
「話、聞かせてください。あたしがその浮気の証拠をつかんできます」
「「「えぇ⁉」
 突然の愛の発言に、今度は優と大和と奈津子の驚きが重なった。
「おいおい……本気かよ」
「愛ちゃん、そんなこと出来るの?」
「そんなことをしてもらうなんて、申し訳ないよ」
 それぞれが愛に向かって言うが、愛の決意は変わらないようだ。
「やってみないと、分からないじゃないですか。奈津子さんがそのことで悩んでいるのなら、あたしが白黒つけてきます。奈津子さんにはいつもお世話になっているし、たまには役に立たせてください」
 愛の意思の強さに負けたのか、奈津子は何かを決めたような表情をした。
「……分かったわ。それじゃあ、お願いしてもいいかしら」
「頼むんだ……」
「すごいことになったな……」
 優と大和は顔を見合わせ、苦笑いをした。
「それじゃあ、話すわね。彼の浮気の話」
 そう言って、奈津子は彼氏の浮気話を始めた。

―奈津子の話―
 この間の日曜日、彼とデートの約束をしていたんだけど、前日になって「急に行けない」って言われたの。
「どうして?」って聞いたら、彼は「友達が色々悩んでいるみたいで、その話を会って聞くから」って言ったわ。
何でも、その人はすごく深刻に悩んでいるらしくて、すぐにでも会って話を聞いてあげないと、自殺しちゃうかもしれないらしい。
私はね、それは大変だと思って、別に怒りもしなかったわ。
デートはいつでもできるし、彼は友達を大切にする人だから。
 でもね、問題はその当日なの。私が当日、駅で買い物をしていたら、彼と可愛い女の子が二人で歩いているじゃない。しかも、仲良さそうに腕を組んで。
彼からは「悩みを聞く相手は男だから安心して」って言われていたから、本当にショックだったわ。
最初は女装趣味の男の子の悩みを聞いてあげていたのかな、それが解決したから二人で楽しそうに買い物しているのかな、と思ったわ。
もしかしたら、同性を好きになった男の子の悩みを聞いていたのかもしれないし……。
だけど、声を聞いても、身体のラインとかを見ても、女の子なの。
どう見ても、私と同じ性別なの。
もしかして、浮気されている?と思ったんだけど、その場で声をかける勇気もないし、何しろその場で別れを告げられるのが怖かったの。
だから、次の日に彼と会う約束をして、話をすることにしたわ。
 次の日、彼に昨日は誰といたんだって問い詰めたわ。
そしたら彼は笑って、「男友達だってば」と言った。
その人は女装趣味があるのかって尋ねたら、少しだけ表情がこわばったわ。
「なんで、そんなこと聞くんだよ?」
彼がそう言うから、昨日駅で見かけた話をした。
でも、彼は平然と「見間違いだよ」って言うの。
私が彼を見間違えることなんてないから、「間違いないよ」って言ったら彼は友達の名前を教えてくれたわ。
「相沢啓介。こいつの話を聞いていたんだ。そんなに疑うのなら、本人に聞いてみろよ」
 彼は呆れたように私にそう言った。
だからね、私は確かめようと相沢君と会ったの。
相沢君は確かに彼と会っていたわ。相談事も実際していたみたい。
しかも、その二人が話している様子を私の親友も見ていたの。
 親友は絶対に嘘をつかないし、どっちかって言うと私の彼のことを嫌っているから、絶対に彼の味方をするようなことはないわ。
 だから、やっぱり駅で見たのは見間違いだったのかって思うんだけど、信じきれなくて……。

「それで、彼氏が浮気しているんじゃないかって、最近考え込んでいたんですね……」
「っつうか、女装趣味の男の子の相談を受けていたのかもって……奈津子さん、どんな思考をしているんですか」
「やっぱ、そこ引っかかるよな!」
 愛は真剣に奈津子の悩みについて考え、優と大和は奈津子の奇想天外な発想に笑っていた。
「だって、彼を信じるにはそう考えるしかないじゃない……」
 奈津子は笑う二人を見て、今にも泣きそうな顔になる。
「ああ、奈津子さん、ごめんなさい。そういうつもりじゃなくて」
「そうそう、だから、会長、泣かないでくださいよっ!」
 二人は焦って奈津子を励ます。
「……調査してくるかな」
 そんな三人を無視して、愛はそう呟くと立ち上がった。
「「「え?」」」
 三人はそんな愛を驚いて見上げる。
「お前、本気?」
 優の質問に愛は満面の笑みで頷く。
「なんなら、優君も一緒に調査してくれてもいいんだよ?」
「は?何で俺も一緒に調査しなきゃいけないんだよ」
 優は呆れたようにため息をつく。
「……そういえば、あそこのカフェ、すごく美味しいケーキがあったなぁ。これが解決出来たら、そこに食べに行こうかなぁ」
 愛はわざとらしく優の方をチラチラと見ながら呟く。
「……ケーキ?」
「半額クーポンも二枚あるし、誰か誘って行こうかなぁ」
 愛はクーポン券をチラつかせながら、優の様子を窺う。
優はしばらく悩んでいるようだったが、覚悟を決めたようにため息をついた。
「……はあ、しょうがねぇな。俺も一緒に調査してやる」
 優がクーポン券をチラチラ見ながら言うと、愛は大和と顔を合わせて思わず吹き出す。
「っぷ。相変わらず、優は甘いものが好きなんだな」
「本当に甘いもので釣れた……」
 優は自分がハメられたことに気付くと、大和を睨んだ。
「お前がこいつに教えたのか……」
「だって、優って甘いものでつらないと、何も一緒にしてくれないじゃん」
 大和は笑いながら優の肩をたたく。
「ま、頑張れ」
「よしっ!じゃあ、さっそく行こう!」
 愛はそう言って立ち上がると、優の腕を引っ張って部屋から出た。
優は面倒くさそうに大きなため息をつくと、しぶしぶ愛に引っ張られたのであった。

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