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ネコの図書館

…「アイドルの探偵⁉」修正完了しました!「復讐という名の愛」修正中のため非公開です…
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09/13/21:29  憎しみと悲しみ

そこには、恵理奈が今にも泣きそうな顔をして立っていた。
「どうして……ここに?部屋にいたんじゃ……」
 望実は呆然として銃を下ろした。
「私ね、SUNSHINEの三人が殺される夢を今さっき見たから、不安になってロビーに来たの。……話は島崎さんが敵の方に向かって歩いて行ったところから、聞かせてもらった。……本当なの?」
「……はい、そうです。私が、元凶なんです。今まで黙っていて、知らぬ顔して一緒にいて、ごめんなさい」
 望実はうつむきながら言った。
「……ひどいよ」
 恵理奈が小さな声で呟いた。
「島崎さん、ひどいよ。どうして、何も言ってくれなかったの。それに……嘘ついてまで、私の側にいてほしくない!捕まらないために……私のために、これ以上誰かを殺すなんてやめて!」
 恵理奈は苦しそうに、望実をまっすぐに見た。
「……恵理奈さんっ……」
 望実は悲しそうな瞳で絵理奈を見つめる。
「おい、さっさと撃てよ。あいつらは自分で殺すってお前が言ったんだろうが。まあ、お前が撃たないなら、俺らが撃つぜ?あ、そうだ。ちなみにあの女優の女も撃てよ。あいつも真実を知ったみたいだからなぁ」
 男が拳銃片手に、望実に言う。
「そんなっ!絵理奈さんを殺す必要は……」
「お前に選択肢をやる。こいつら全員殺すか、俺らがお前とこいつら全員を殺すか。どっちでもいいぜ」
 男はにやにやと笑って望実に向かって言う。
望実は悲しそうに笑うと、拳銃を捨てた。
「島崎さんっ!」
「この人たちと一緒に逝けるのなら、怖くないわ。さあ、殺して。これ以上、罪を背負って生きていくのは辛い」
 望実が涙を流しながら、目を閉じた。
男は満足そうな顔をすると、拳銃を望実へと突き付けた。
そして、引き金に指をかけた、そのとき。
「やめろっ!」
 勇気が男に体当たりをした。

―バンッ―

 銃声が鳴り響いた。
賢人が素早く男を取り押さえ、誠が拳銃を奪う。
「……は、畑山……さん……どうして……」
 勇気が膝から崩れ落ちた。どうやら、わき腹に弾が当たってしまったようで、わき腹を抑えている。
「畑山さんっ!」
 絵理奈が駆け寄ろうとしたその時、今までに聞いた事のないくらい大きな声で、勇気が叫んだ。
「来るなッ!」

―ビクッ―

 絵理奈はその場に立ち止まった。
「……島崎さん……あなた、斎藤さんが大切だったから、斎藤さんを残していけなかったから、死ねなかったんでしょ?それなのに、どうして……どうして死のうとするんですか。斎藤さんを一人にするんですかっ……。大切なら、最後まで守ってあげなきゃ……。……くっ……」
 勇気はわき腹を押えながら、ふらふらと立ちあがった。
その様子を賢人と誠と絵理奈が心配そうに見つめる。
「……で、でもっ……もう戻れないんですよっ……。私は……罪を犯しました……。償うためには、やっぱり死なないといけないんですよっ……。それにっ……どうせ皆殺されます。どうせ死ぬのならっ……」
 望実はそういうと、うつむいた。
「どうして、もう諦めているんですかっ……。まだ、皆死ぬとは限らないですよ。諦めたら、そこで終わりです。……それとね、本当に贖罪をしたいのなら、捕まらないようにすることよりも、捕まらないために死ぬよりも、その十字架を抱えて、生きてください。きちんと罪を償って、それからまた斎藤さんの側にいてあげてください。……過去は変えられないけど、未来は変えられる。過ちは繰り返さないでください」
 勇気はまっすぐに望実を見つめた。
「……島崎さん……」
 恵理奈が苦しそうに、悲しそうに望実の名を呼んだ。
望実はそれに応えるように、自傷気味に笑った。
「……っぐっ……おい、お前ら、早くこいつらを殺せ!」
 賢人に取り押さえられた男が、苦しそうに叫んでいる。
しかし、誠が奪った拳銃で、男のこめかみに銃を当てた。
「こいつを殺されたくなかったら、拳銃を床に置け」
「っひっ……」
 拳銃を突き付けられた男は、顔を青ざめさせている。
「なんだお前、人を平気で殺す癖に、自分が殺されるのは怖いんだな」
 賢人がバカにしたように笑っている。
「や、やめろっ……お前たち、銃を早く床に置けっ!」
 真逆の命令をされた男たちは戸惑っていたが、リーダーを人質に取られているからか、銃を静かに床へと置き始めた。
「……すごい……」
 望実と絵理奈は驚きでその場を見ていた。
「……ね?諦めるのはまだ早いって言ったでしょ?」
 勇気が望実に優しく微笑んだ。
望実は泣きながら、何度もうなずいた。
「さてと……警察呼ばねぇと……」
 勇気がそう言って携帯を取り出そうとしたが、それを絵理奈が止めた。
「もう、こっちに向かっています」
「え?」

―ウゥ~―

 パトカーのサイレンが鳴り響く。
「け、警察⁉なんでここに⁉誰か呼んだのか⁉」
 男たちがざわざわしだす。
「……どうして……」
「夢を見て、嫌な予感がしたから、一応呼んでおいたんです。呼んでおいて良かった……」
 絵理奈がほっとしたように微笑んだ。
それを見た勇気は照れたように顔をそらした。
しかし、ふと痛みがよみがえってきたのか、わき腹を抑える。
「っぐっ……」
「大丈夫ですか⁉」
 絵理奈が慌てて駆け寄る。
「救急車も呼びますね」
「私が呼びます」
 絵理奈が携帯電話を取り出そうとしたのを、望実が止めた。
「絵理奈さんは、畑山さんを支えてあげてください」
 望実は優しくそう微笑むと、電話をかけ始めた。
勇気と絵理奈は目を合わせると、小さく笑った。
 しばらくして、警察がホテル内に入ってきて、現場を確認すると、男たちを捕らえた。
拳銃を持っていた誠も逮捕されそうになったが、賢人達が誤解を解き、免れた。
 そして、事情聴取のため、SUNSHINEの三人と絵理奈と望実も、警察へと連れていかれる。
しかし、勇気は怪我を負っていたため、救急車によって病院へと運ばれた。




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