ネコの図書館
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01/14/15:35 仲間のSOS次の日は、SUNSHINEでの雑誌インタビューの仕事だった。
勇気が楽屋に入ると、すでに他の二人は来ていた。 「おはよう」 「おはよ」 「……はよ」 「賢人、ねむそうだな」 勇気は眠そうな顔をしている賢人に声をかけた。 「昨日、あの女のせいで良く寝れなかった」 「あの女って、あの、ストーカー女?」 勇気は苦笑して言った。 「そうそう。あいつ、ほんっとしつこいんだよ」 「まぁ、お疲れさま」 勇気と賢人がそんな会話をしているとき、誠はなぜか顔を下に向けていた。 「……誠?どうかしたか?」 勇気はいつもと違う誠に違和感を持ち、そう尋ねた。 しかし、誠は顔をあげ、いつもの笑顔で答えた。 「ん?別に、どうもしねぇよ」 「あ、もしかして、昨日の失恋でまだ落ち込んでんのかっ⁉」 勇気たちは誠がいつもと違う事に気付いていたが、その場を盛り上げるために、わざと話題を変えた。 「ちげぇよ。俺も寝みぃんだよ。昨日、夜遅くまでテレビ見てたから」 「……ふぅん。あ、もしかして、テレビじゃなくてビデオじゃねぇの⁉」 「あぁ……あっち系の?」 「違うわ!」 「なんだ、違うのか……」 「誠なら見てそうなのにな……」 二人ともわざと、残念そうにしている。 「っぷ。お前ら、バカだろ」 誠はそんな二人の姿を見て、少し笑顔を取り戻したようだ。 その様子に気付いた二人は、少し安心したのであった。 ―インタビュー中― 記者「それで、今日、皆さんに聞きたいことは……」 インタビュー中、誠はずっと何かを考えているようだった。 しばらくすると、誰かの電話が鳴った。 ―プルルルルルル……― 「あ、俺の電話だ。すいません。マナーモードにするの、忘れてました」 そう言って立ち上がったのは誠だった。 「珍しいな。誠がマナーモードにするの忘れるなんて」 「いやぁ、うっかり、忘れちゃったよ」 そう会話をしている間も、電話は鳴り続ける。 記者「電話、出てもいいですよ?まだ時間はありますし」 「んじゃ、ちょっと失礼して……」 誠は記者の言葉に甘えて、部屋を出た。 ―ガチャン― 「ふぅっ……」 誠は廊下へ出ると、壁に寄りかかり、電話に出た。 「……もしもし」 『あ、誠ぉ?元気ぃ?』 電話は、女からだった。 「仕事中だ。切るぞ」 誠は冷たく言い、電話を切ろうとした。 『ちょっと待ってよぉ。まだ、用件言ってないじゃない』 「用件はなんだ」 『今日、例の場所にいつもの時間に集合ね。カバンも忘れずに』 「……悪い、今日は行けない」 『賢人くんがどうなってもいいのかなぁ?』 女は、脅しをかけるように言った。 「……っち。分かった。行けばいいんだろ?その代わり、あいつらには近づくな」 『もちろん、約束は守るわよ。それじゃ、今夜、また会いましょう』 そう言うと、女は電話を切った。 ―ップーップーップー…― 誠は、その場に少しの間たたずんでいた。 ―ガチャ― 「おかえり、誠」 「……ただいま」 誠は部屋に入ると、少し不機嫌そうに椅子へと座った。 「……誠?」 二人とも、そんな誠の様子を不思議そうに見ている。 記者「えっと……始めても大丈夫ですか?」 「はい。お待たせしてすみませんでした」 誠はそう言うと、作り笑いをした。 記者は作り笑いだと気付かないのか、その笑顔に安心したように、インタビューを始めた。 普段作り笑いをしない誠が作り笑いをしていることに、二人は違和感を感じて、誠を心配していた。 そして、インタビューも終わり、その他いろいろな仕事を終えた三人は、それぞれの家に帰って行った。 どこかに食べに行くという話もあったが、誠がそれを断わり、結局、家に帰る事になった。 誠は一度家に帰り、夕食とシャワーを済ませると、静かな闇の中、出かけて行った。 誠はある倉庫に来た。 「……いらっしゃい。よく来てくれたわね」 そこにはすでに先客がいた。どうやら、電話の相手だった女のようだ。 「お前が呼んだんだろ」 誠はその先客に嫌そうな態度をとった。 「あんたが私を狙ったのがいけなかったのよ?」 女はそう怪しく笑うと、誠に近づいた。 「んで、今日は何?」 「分かっているくせに……。はい。これ。今日も、例の場所までよろしくっ!」 女はウインクをすると、誠のカバンの中に、何かを入れた。 「……っち。俺、明日仕事あるんだけど」 「大丈夫。誠なら平気よ」 女は誠にほほ笑んだ。 その姿は、とても美しく、どんな男でも堕ちてしまいそうだった。 「……行ってくる」 誠はそう言うと、静かにその場を後にした。 女が怪しく笑ってることに気付かずに……。 PR
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