ネコの図書館
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11/11/16:08 人気女優の裏の顔最近、化粧品のCMで話題となっている『斎藤 恵理奈』には、秘密があった。 それは、マネージャーしか知らない、秘密。 そんな秘密を畑山勇気は知ってしまった。 秘密を知ってしまったのは、たまたまテレビの撮影で恵理奈と勇気が一緒になったときの事であった。 ―撮影現場― 「今日はよろしくお願いします」 勇気はいつも通り、撮影現場に入り、出演者やスタッフにあいさつをしていた。 そして、恵理奈にあいさつをするとき、勇気は恵理奈の異変に気付いた。 「斎藤さん、今日はよろしくお願いします」 「……」 「……斎藤さん?どうかしました?」 「……」 勇気が何度そう言っても、恵理奈は黙ったままだ。 絵里奈の顔色は悪く、勇気は絵里奈の具合が悪いのではないかと思った。 「あの、斎藤さん、具合でも悪いんですか?」 すると、やっと勇気が話しかけていた事に恵理奈は気づいたらしく、 「っあ!す、すいません。なんでもないですっ。……えっと……何か御用でしたか?」 「あ、いや、今日はよろしくお願いします」 「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」 互いに頭を下げ合うと、勇気は恵理奈の態度の変化を変に思った。 すると、そこへ恵理奈のマネージャーが来た。 「え、恵理奈さぁん!忘れ物ぉぉぉ!」 走ってきたようで、息切れをしている。 「あ、島崎さん!よかったぁ。ありがとう」 マネージャーが持ってきたのは小さなハートと星が付いているネックレスだった。 恵理奈はマネージャーが忘れ物を持ってきてくれて、とてもうれしそうだ。 「全く……これを忘れたら、能力を解放しちゃうんだから、気をつけてくださいね」 「……え?」 勇気は、今マネージャーがぽろっと言った言葉を不思議に思った。 (……能力?) 「ちょ、ちょっと、島崎さん!ここ、畑山さんがいるんだから、その事は言わないでよ!」 「……はっ!す、すいませんっ!畑山さん、今のは聞かなかったことに……」 マネージャーの島崎は、勇気がいることに気付かなかったようだ。 「いや、聞かなかったことにと言われても……。能力ってなんですか?」 勇気は超能力に興味があるので、思い切って聞いてみた。 「あの……その……」 島崎はもごもごと話始めて、何を話しているのか全く分からない。 すると、しびれを切らしたのか、恵理奈が 「能力だなんて、島崎さんは言ってませんよ?聞き間違いじゃないですか?」 その言葉に島崎は 「そ、そうですよ!」 と強気な姿勢を見せた。 「いや、さっき俺が『能力』って言った途端、マネージャーさん、動揺していたでしょう。なんか、ありますよね?俺、そういうのに興味があるんです。もしよければ教えて頂けませんか?」 勇気は島崎たちに優しく問いかけた。 すると、島崎が恵理奈に 「あの……恵理奈さん、この方なら話してもいいんじゃないでしょうか?悪いうわさも聞きませんし。もう、言い訳も通用しませんよ。私が動揺してしまったので……」 「……もう。勝手にしなさい」 恵理奈は仕方なさそうにため息をついた。 「では、私の方から説明させていただきます。恵理奈さんはですね、殺人を予知する力があるんです」 「……は?」 衝撃的な事実を軽々しく言われ、勇気は唖然とした。 「もう少し詳しく言いますと、恵理奈さんは、自分の言ったところのある場所で起こる殺人事件を予知してしまうのです。恵理奈さんは仕事でたくさんの場所を訪れるので、その分、予知の能力もたくさん使われてしまうのですよ」 「……ウソでしょ?冗談もほどほどにしてくださいよ」 「……本当なんだから、しょうがないでしょ?私だって、好きでこの能力を持っているわけじゃないわ」 恵理奈が少し悲しそうに言った。 「……ん、んじゃあ、さっきマネージャーさんが届けに来たものって……」 「私のこの能力を封じ込めるために必要なの。これがあると、私は殺人を見なくて済むのよ」 そう言って恵理奈は先ほどマネージャーから貰った銀色のハートと星がくっついているネックレスを見せた。 「へぇ……。ってことは、犯罪を未然に防げるんじゃないですか!?」 「……そうだといいんだけど。私が見るのは一部だけなの。だから、犯人の顔も殺される人の顔も見えないし、意味がないのよ」 恵理奈はまた悲しそうに言った。 「……ということで、この話は秘密でお願いしますよ、畑山さん」 「あ、はい。もちろんです」 マネージャーは話を早く終わらせたいようでさっさと恵理奈の腕を引っ張り、 「さぁ、恵理奈さん、メイクに行きましょう」 「……えぇ」 去って行ってしまった。 勇気は、まるで夢を見ているような気分だったが、スタッフに名前を呼ばれ、我に返った。 「畑山勇気さん。メイクお願いします」 「……あ、はい。今行きます」 勇気は先ほどのことを考えながら、メイクをしに向かって行ったのであった。 PR
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